十七八は藪力の意味・由来・使い方|日本のことわざ解説

ことわざ

十七八は藪力の読み方

じゅうしちはちはやぶぢから

十七八は藪力の意味

「十七八は藪力」は、十七歳から十八歳くらいの若者が持つ、抑えきれないほどの腕力と勢いの強さを表現することわざです。この年代の若者は、体格は大人と変わらないほど成長しているのに、まだ疲労を感じにくく、自分の限界を知らない無鉄砲さも持ち合わせています。

このことわざが使われるのは、若者の力強さや勢いを認める場面です。重労働を軽々とこなす姿や、エネルギーに満ちた行動力を見て、年長者が感心したり、時には呆れたりしながら使う表現でした。単なる筋力だけでなく、怖いもの知らずで突き進む精神的な勢いも含んでいます。

現代でも、高校生や大学生くらいの若者が見せる圧倒的な体力やバイタリティを表現する際に使えることわざです。スポーツで活躍する若者や、情熱的に何かに打ち込む姿を見たときに、この言葉がぴったり当てはまるでしょう。

由来・語源

このことわざの由来について、明確な文献上の記録は残されていないようですが、言葉の構成から興味深い考察ができます。

「十七八」は文字通り十七歳から十八歳を指す表現で、江戸時代には成人として扱われる年齢でした。現代の感覚では高校生くらいですが、当時は元服を済ませ、一人前の大人として働き始める時期だったのです。

注目すべきは「藪力」という言葉です。「藪」は竹や草木が生い茂る場所を意味しますが、ここでは「やぶれかぶれ」や「無鉄砲」といった言葉にも通じる、抑えきれない勢いを表現していると考えられています。竹藪の竹が勢いよく伸びる様子、あるいは藪を突き破るような荒々しい力強さが連想されるのです。

農村社会では、若者の体力が貴重な労働力でした。十七、八歳といえば、体は大人と同等に成長しながら、まだ疲れを知らない年頃です。田畑を耕し、重い荷物を運び、力仕事をこなす若者たちの姿を見て、人々は「藪力」という独特の表現でその特徴を言い表したのでしょう。力だけでなく、恐れを知らない勢いや、突進力も含めた表現だったと推測されます。

使用例

  • 息子は十七八は藪力というだけあって、朝から晩まで部活動に打ち込んでも疲れ知らずだ
  • 新入社員の彼は十七八は藪力の年頃で、先輩たちが音を上げる仕事量でも平気な顔をしている

普遍的知恵

「十七八は藪力」ということわざは、人生における特別な時期の輝きを捉えた言葉です。なぜ人類は古今東西、若さの力強さを称賛し続けてきたのでしょうか。

それは、この時期が人間の成長において二度と訪れない奇跡的なバランスの上に成り立っているからです。体は大人として完成しつつあるのに、心はまだ限界を知りません。経験による慎重さがない分、恐れずに前へ進めます。失敗を恐れない勇気と、回復力の高さが同居する、まさに人生の黄金期なのです。

しかし、このことわざの本質は単なる若さの礼賛ではありません。むしろ、人間の成長には必ず段階があり、それぞれの時期に固有の価値があることを教えています。十七、八の藪力は素晴らしいものですが、それは永遠には続きません。だからこそ、その時期を持つ若者は存分にその力を発揮すべきであり、それを見守る大人たちは、かつて自分もそうだったことを思い出すのです。

このことわざが長く語り継がれてきたのは、誰もが通過する普遍的な人生の一時期を、的確に言い当てているからでしょう。若さとは、ただ年齢が若いことではなく、限界を知らない勢いそのものなのです。

AIが聞いたら

十代後半の若者の力が制御不能な藪のようだという表現は、実は生物学的に極めて正確な観察です。この時期の筋肉は、ATP-クレアチンリン酸系という瞬発的エネルギー供給システムが人生で最も活発に機能します。このシステムは約10秒間だけ爆発的な出力を生み出せますが、エネルギー効率は有酸素運動の約18分の1という驚くべき低さです。つまり若者の力は、燃費が最悪なスポーツカーのようなものなのです。

興味深いのは、この非効率さが進化上の重要な役割を果たしている点です。若い個体が無駄に力を使いまくることで、筋繊維の限界値を探索し、神経系が最大出力時の制御方法を学習します。たとえば全力疾走を繰り返すことで、速筋線維の動員パターンが最適化されていくのです。藪が無秩序に枝を伸ばしながら最適な日光の当たる場所を探すように、若者の身体も無駄な力の使用を通じて最適な運動パターンを発見していきます。

さらに十代後半は成長ホルモンとテストステロンの分泌がピークを迎え、筋損傷からの回復速度が成人の約1.5倍です。だからこそ効率の悪い力の使い方をしても、翌日には回復できる。この「失敗しても大丈夫な期間」に限界を試すことが、生涯の運動能力の基礎を作るわけです。

現代人に教えること

このことわざが現代人に教えてくれるのは、人生の各段階には固有の強みがあるという真実です。十七、八の藪力は確かに素晴らしいものですが、それは人生の一時期に過ぎません。大切なのは、今自分が持っている力を認識し、それを最大限に活かすことです。

若い世代の人たちへ。あなたが今持っているエネルギーと勢いは、かけがえのない財産です。失敗を恐れず、思い切り挑戦してください。その力は永遠ではありませんが、今使わなければ意味がありません。体力だけでなく、新しいことを吸収する柔軟性も、今が最高の時期なのです。

一方、その時期を過ぎた人たちへ。藪力の時代が終わっても、あなたには経験という別の力があります。若者の勢いを懐かしむのではなく、彼らを支え、導く役割を果たせます。かつて自分が持っていた力を思い出し、今の若者たちを温かく見守ることができるのは、あなただけなのです。

どの年代にも、その時にしか発揮できない力があります。それを理解することが、充実した人生への第一歩です。

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