順境は友を作り、逆境は友を試すの意味・由来・使い方|日本のことわざ解説

ことわざ

順境は友を作り、逆境は友を試すの読み方

じゅんきょうはともをつくり、ぎゃっきょうはともをためす

順境は友を作り、逆境は友を試すの意味

このことわざは、良い時には多くの人が近づいてくるが、困難な時にこそ真の友人かどうかが分かるという意味です。人生が順調で成功している時期には、自然と周囲に人が集まってきます。しかし、それらの人々が本当の友人なのか、それとも利益や楽しさを求めて近づいているだけなのかは、その時点では判断できません。

ところが、あなたが困難に直面し、助けが必要になった時、状況は一変します。順境の時に周りにいた人々の中には、離れていく者もいるでしょう。しかし、そんな時でも変わらず支えてくれる人こそが、真の友人なのです。逆境は、友人関係の試金石となり、表面的な付き合いと深い絆を持つ関係を明確に区別してくれます。

現代社会でも、この教えは変わらず重要です。SNSで繋がりが増えても、本当に困った時に頼れる人は限られています。このことわざは、友人の数ではなく質の大切さを教えてくれているのです。

由来・語源

このことわざの明確な起源は定かではありませんが、西洋の格言「Prosperity makes friends, adversity tries them」の翻訳として日本に入ってきたという説が有力です。英語圏では古くから使われてきた表現で、人間関係の本質を鋭く突いた言葉として広く知られています。

「順境」と「逆境」という対比的な言葉の組み合わせは、東洋思想にも通じる表現です。順境とは物事が順調に進む良い状態、逆境とは困難に直面している厳しい状態を指します。この二つの状況における人間関係の変化を観察することで、真実が見えてくるという洞察が込められています。

「友を作る」と「友を試す」という動詞の使い分けも興味深いところです。順境では友人が自然と増えていく様子を「作る」と表現し、逆境では既存の友人関係の真価が問われる様子を「試す」と表現しています。この対比によって、人間関係の表面的な部分と本質的な部分が浮き彫りになる構造になっています。

明治以降の日本では、西洋の格言や諺が多く翻訳され、日本語として定着していきました。このことわざもその流れの中で受け入れられ、日本人の人間観察の知恵として語り継がれるようになったと考えられています。

使用例

  • 会社が倒産した時、本当の友人が誰なのか順境は友を作り逆境は友を試すということを痛感した
  • 彼は成功している時は周りに人がたくさんいたけど、病気になったら誰も来なくなった、まさに順境は友を作り逆境は友を試すだね

普遍的知恵

人間には、輝いているものに引き寄せられる本能があります。成功している人、楽しそうな人、何かを持っている人の周りには、自然と人が集まってくるものです。これは決して悪意からではなく、人間の自然な心理なのです。明るい場所に集まりたい、良いエネルギーを分けてもらいたいという欲求は、誰もが持っています。

しかし、人生には必ず波があります。誰もが順境だけを歩み続けることはできません。そして逆境に立たされた時、人間の真価が問われます。助けを必要としている人のそばにいることは、楽しさや利益を得られるわけではありません。むしろ、自分の時間やエネルギーを差し出す必要があります。それでも傍にいてくれる人がいるとしたら、その人はあなた自身を大切に思っているのです。

このことわざが何百年も語り継がれてきたのは、人間関係の本質を見事に言い当てているからでしょう。表面的な繋がりと深い絆の違いは、平穏な日常では見えにくいものです。しかし、試練の時にこそ、その違いが鮮明になります。先人たちは、この人間の性質を深く理解していました。だからこそ、真の友情とは何かを見極める知恵として、この言葉を残してくれたのです。

AIが聞いたら

順境で作られる友人関係は、ネットワーク工学でいう「冗長接続」に似ています。つまり、実際には情報やサポートがほとんど流れていないのに、つながっているように見える状態です。たとえばインターネットの回線でも、普段は問題なく見えても、大量のデータを一気に送ろうとすると、実は細い回線だったことが判明する場合があります。

人間関係も同じで、順境では「週末に遊ぶ」「愚痴を聞く」程度の軽いデータしか流れません。この程度なら多くの友人関係でも処理できます。ところが逆境では「お金を貸す」「長期的に支える」といった重いデータが流れます。すると、見かけ上は友人が10人いても、実際に機能するのは1人か2人だけ、という現象が起きるのです。

興味深いのは、ネットワークの「見かけの密度」と「実効的な強度」が反比例する場合があることです。順境で友人が多い人ほど、各リンクへの投資が分散されて一本一本が細くなります。逆に友人が少ない人は、限られた関係に集中投資するため、一本一本の帯域幅が太くなる傾向があります。つまり順境は、ネットワークの拡大と同時に脆弱化も進めているわけです。逆境というストレステストによって初めて、自分のネットワークの真の構造が可視化されます。

現代人に教えること

このことわざは、友人関係において量より質を重視することの大切さを教えてくれています。現代はSNSで簡単に繋がれる時代ですが、本当に大切なのは、困った時に助け合える関係を築くことです。表面的な付き合いをたくさん持つよりも、数は少なくても深い信頼関係を持つ友人を大切にする方が、人生を豊かにしてくれます。

同時に、このことわざは自分自身の在り方も問いかけています。あなたは誰かの逆境の時に、そばにいられる友人でしょうか。真の友情は一方通行ではありません。相手の困難な時に支えることができてこそ、自分が困った時にも支えてもらえる関係が生まれます。

大切なのは、順境の時に調子に乗りすぎないことです。今、周りにいる人々が全て真の友人だと思い込まず、日頃から誠実な関係を築く努力を続けましょう。そして逆境に立たされた時は、落胆するのではなく、本当の友人が誰なのかを知る機会だと前向きに捉えてください。人生の試練は、あなたにとって本当に価値ある人間関係を教えてくれる、大切な時間なのです。

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